2014年8月11日月曜日

ニシダ ツトム・舘 寿弥 展@下山芸術の森発電所美術館(富山県入善町)に行ってきました


さて、光の館を後にして十日町市博物館で国宝火焔土器に胸を熱くしたのち、富山県入善町にある「下山芸術の森発電所美術館」に向かいました。下山は「にざやま」と読みます。普通読めません。余談ですが富山県には田舎ならではの難読地名がたくさんありますが、私は「西田地方(にしでんじがた)」が一番好きです。

発電所美術館はその名の通り、水力発電所をリノベーションして作られた美術館です。
空調も何も無いだだっ広い空間で繰り広げられる展示は毎回非常にダイナミックで、富山県入善町という辺境にあり交通は不便ですが、行く価値はあると断言できる良い美術館です。

後述しますが平成22年の企画展「ヤノベケンジ×ウルトラファクトリー『MYTHOS』展」の第2章「大洪水」では美術館としては貴重な「あっ本当に死ぬかも」という恐怖を味わう事ができました。


今は富山県出身の作家の二人展が開催されています。
一階のメインスペースではニシダツトムさんのインスタレーション「兎おいし かの山 小鮒つりし かの川」が”張り巡らされて”おり、中二階では舘 寿弥さんの和紙とも金属ともつかない繊細で美しい平面作品が展示されていました。

館内は空調も何もないので、必然的にここで展示される作品は「荒っぽい」ものになります。初めてここを訪れたときには塩田千春さんの個展「流れる水」の期間中だったのですが、そのときは10mある天井から無数のベッド(近くの廃病院のもの)が静止した雪崩のように吊るされ、そこを水が迸っているという巨大なインスタレーションでしたし、ヤノベケンジさんの「大洪水」は天井に吊るされた鉄の釜から5tの水が一気に放たれるという作品でした。

動画:ヤノベケンジ MYTHOS(ミュトス)展(大洪水は6:55ごろ)



美術館といえば多くの空間はホワイトキューブであり、どんなところでも同じ条件で作品を展示できる機能はある面ではとても優れたものですが、サイトスペシフィックな展示空間に触れると、東京にたくさんある美術館を相対化して考えることができるので良いと思います。

今年度中には入善町の隣の黒部市に停まる新幹線も開通しますし、ぜひもっと多くの人に訪れてほしいと勝手に思ってしまう美術館です(というか、なくならないでほしい)。





アトリエが併設されており、宿泊もできるみたいです。





最後の二枚は「大洪水」の水瓶。すっかり置物になっていますが、もう一度水をぶっ放す時は来るのでしょうか。もう一回見てみたい。

ちなみに入善町には「杉沢の沢スギ」という恐竜が出てきそうな雰囲気の自然公園があり、こちらもおすすめです。

(五)

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